有機化学の実験を行う際に避けることができない作業が試薬の秤量です。
この秤量という操作、湿度の高い夏はともかく乾燥する秋冬になると問題になるのが静電気です。
この静電気があるだけで薬包紙に試薬をはかりとる難易度が格段に上がるうえ
量り取った試薬が薬包紙から離れてくれずにイライラが募ります。
特にスケールの小さい反応だと、薬包紙や反応容器の側面にへばりついた粉を見て
ちゃんと試薬が入っていないんじゃないかと不安になってしまいます。
こうした問題に役に立つのが静電気除去アイテムです。
有機化学実験を10年以上行っている筆者が実際に使用したものでおすすめなものを3つ紹介したいと思います。
ゼロスタット3帯電防止ガン
まずお勧めするのはこちらのゼロスタット帯電防止ガンです
使い方は簡単で、静電気を除去したい対象に銃口を向けてゆっくりトリガーを引いて戻すだけです。
薬包紙や試薬瓶、フラスコ壁面に張り付いた試薬に向けてなど小回りがきくのでさまざまな場面で活躍してくれます。
ゼロスタッドは私が学生の頃に購入して試してみたものですが、あまりにも良くて全ての秤量計の横に常備するまでになりました。
<画像引用:https://axel.as-1.co.jp/asone/d/1-8912-01/>
ゼロスタッドを導入するまでは上のタイプの簡易除電機を使用していましたがゼロスタッドの効力が段違いでした。
ぜひ一つ買って試してみてください
Amazonリンクはこちら
3個セットもあります
コンパクトイオナイザー(電子天びん用)
資金に余裕のある方はイオナイザーの導入がお勧めです。
上記のゼロスタッドのように自分で何か操作をする必要がありません。
コンセントにつなげて電源をオンにしておけばイオナイザーが向いている先の静電気を強力に除去してくれます。
イオナイザーの良いところは製品を向けている方向の静電気を常に除去してくれるというところです。
静電気は試薬の粉末同士が擦れるたびに起きてしまうものなので、一度除去したとしても何回か量り取っているうちに次第にまた溜まってきてしまいます。
つまりゼロスタッドでは何回か小まめに静電気除去の操作をしなければならないのですが
イオナイザーであれば常に静電気を除去し続けてくれるので快適です。
特に活躍してくれるのが粉末の瓶詰めです。
イオナイザーのイオン源を下に向けてその下で作業すれば快適に試薬をろ紙やフラスコから試薬瓶に詰めるという作業が快適にできます。
イオナイザーも電子天秤の横に常備して、細かいところはゼロスタッドを使用、という運用が個人的にベストだと思っています。
静電靴
大学の研究室ではほとんど知られていませんが、化学製品を扱う企業では着用マストの必需品です。
他にも患者さんに触れることの多い医療現場でも履かれていますね。
こちらの静電靴は体に溜まった静電気を靴を通して床に逃してくれるという代物です。
効果の程ですが、かなりあると感じています。
ほんとに履いているだけなので使用している感覚がほとんどないのがとても良いです。
研究室の床を歩くので普段用の靴と実験室用の靴を分けるという意味でも健康衛生面的にも良いです。
ただ、研究室用にクロックスのようなスリッパを使用している人は脱ぎ履きの手間が少し面倒だなと感じるかもしれません。
言ってしまえばデメリットはそれくらいで、あとはメリットしかありません。
私は何より一番初めに導入を検討するぐらいの代物と思っています。
コメントを残す