三菱ケミカルがD1向けに奨学生を募集し始めたらしい

三菱ケミカルが奨学生を募集

日本で一番の規模を有する化学メーカー大手である三菱ケミカルが2021年度の奨学生を募集し始めたようです。
奨学生制度というのは、表向きは、学生が学業に専念するために奨学金を貸す制度ですが、実際は奨学生の選考と称し、採用活動を行なうものです。その奨学金は「弊社に入社することで返還免除します」というもので、暗黙の了解で入社を約束してもらうものでもあります。奨学生は例年、就活の時期より少し早めのD2やM1の2月頃から選考が始まります。そのため、学生側も早く就職先を決めることができる上にお金ももらえちゃう的な制度で企業側も優秀な人材をいち早く手に入れることができるWin-Winな制度です。
この制度は三菱ケミカルだけでなく、旭化成や東レ、富士フイルムなどのその他大手化学メーカーも実施している制度です。
就活生向け奨学生採用を行う企業【化学メーカー・非鉄金属メーカー・鉄鋼メーカー】

2021年度の三菱ケミカル奨学生はD1も対象

三菱ケミカルの奨学生募集ページによると、これまでのD2、M1対象の奨学生採用を「Ⅱ種」としており、それに加えて今年から新たに「I種」としてD1向けの奨学生採用を始めています。
募集内容は以下の通り

■奨学金 I種
・大学院を修了後、当社への入社を希望される方で現在博士後期課程1年(D1)に在籍されている方が対象となります。
大学での専攻分野:化学、化学工学
・奨学金貸与期間:博士後期課程の範囲で最長2.5年
・奨学金:最大240万円(8万円/月)

つまり、このI種に採用されるとD1の秋頃に就職先を決めることができてしまいます。D1を対象にした奨学生採用は今のところ三菱ケミカルだけです。
こんなんありかという感じですが、学生にとって選択肢が増えるのは悪いことではないはずです。
企業側も初の試みなので来年度以降も続けるか否か、他社も続くのかもまだわかりません。

メリット

早めに就活を終えられる

D1の秋に終わらせることができます。研究に集中できるようになります。
将来に不安を感じながら過ごす人が多い博士課程ですが、大手メーカーの内定というとてつもない安心材料を持って研究生活を送ることができます。

お金がもらえる

採用されてからD3の終わりまで毎月8万、合計最大240万円もらえます。学振などと併用可能かは要確認ですが240万は大きな額です。

奨学生のつながりができる

奨学生特典として「アドバイザー制度あり、奨学生交流会への招待」があることが記載されています。
入社同期やもしかしたらII種の奨学生とも交流ができるかもしれません。入社前から会社の先輩後輩となるや同期と繋がりができるのはとても嬉しいことです。

デメリット

採用後の辞退がしにくい

この奨学生制度に法的拘束力はありませんが、応募には教授推薦が必要であることからも、採用後に「やっぱ三菱ケミカル入社したくないから奨学生やめよ」ということが難しい状況であることは間違いないです。
企業側も、時間とお金をかけてこの奨学生採用システムを構築していますので簡単に辞退できるものだと困るのです。
やはり製薬メーカーには入りたくなったり、地元の企業に就職したくなったり、アカデミアに挑戦したくなったりとD1の序盤から就活時期のD2の冬までに気持ちが変わることは往々にあります。
今は大丈夫だと思っていても、奨学金を借り終わって会社に入社するときまで三菱ケミカルがあなたにとって入社したい会社であるとは限らないのです。

研究に対するモチベーションの維持

内定先が決まってしまうと卒業後の将来が約束されてしまうので「学位が取れる最低限の研究」だけをするようになってしまう可能性があります。
博士後期課程では、「将来の不安」がある種の原動力になっている部分がすくなからずあります。

まとめ

今回のD1対象の奨学生募集は賛否両論あるかと思います。私の意見としては、冒頭に述べたように博士の選択肢が増えるのはいいことだと思います。自分に合う制度かどうか見極めて活用していきましょう。
他にもこういう企業が増えていけばいいなあと思うのですが、毎年200人以上を採用する三菱ケミカルだからこそできる力技な気もします。

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